自宅での終末期ケアに大切な4つのポイント 〜大切な時間を支える力強いサポート〜

はじめに

自宅で終末期ケア(ターミナルケア)を行うことは、患者さんや家族にとってとても大変なことです。しかし、自宅は患者さんが最もリラックスできる場所でもあります。このケアを行うためには、家族の支援や専門家の助け、そして適切な環境がとても大切です。患者さんが家族と過ごす最期の時間をより充実したものにするために、終末期ケアは患者さんの心と体を支える大事な役割を果たします。この記事では、自宅で終末期ケアを行うときに大切な4つのポイントについてわかりやすく説明します。これらのポイントを通して、患者さんと家族が心穏やかに過ごせるようサポートします。

1. 患者さんの意思を大切にする

患者さんの希望を理解することが一番大事

自宅で終末期ケアを行うときは、患者さんの意思を大切にすることがとても重要です。どんな治療を受けたいか、どんなサポートが必要か、どのように最後の時間を過ごしたいかなどについて、患者さんと正直に話し合い、その希望に沿った環境を整えるようにしましょう。患者さんの気持ちや希望を理解することで、より適切で安心できるケアを提供することができます。

  • アドバンス・ケア・プランニング(ACP)を活用して、患者さんが望む医療の内容やケアの方向性をはっきりさせます。ACPとは、将来の治療やケアに関してあらかじめ計画を立てておくプロセスのことで、患者さんがどのようなケアを望んでいるかを前もって話し合い、記録しておくことを指します。ACPを行うことで、患者さんが自分の将来について安心感を持つことができ、緊急時に家族や医療者が患者さんの意思に沿った対応を取りやすくなります。
  • 患者さんが言いにくいことや家族に気を使っていることがないよう、しっかりと話し合う時間を持つことが大事です。オープンで安心できる環境を作ることで、患者さんの本音を引き出すことができます。
  • 宗教や文化に合わせた対応を心がけて、患者さんが安心できる環境を提供しましょう。信仰や文化は、患者さんにとって大切なものであり、終末期ケアにおいても尊重されるべきです。

意思確認の方法とタイミング

患者さんの意思は、体調や状況によって変わることがあります。そのため、定期的に意思を確認し、柔軟に対応できるようにしましょう。患者さんの気持ちは日々変わることがあり、特に体調が悪化したり良くなったりすることで希望が変わることもあります。このため、患者さんの意思を確認し続けることは、患者さんの生活の質(QOL)を高めるためにも欠かせません。

また、意思確認のタイミングは慎重に選ぶことが大切です。患者さんがリラックスしているときや、家族がそばにいるときなど、安心して話せる状況で確認を行いましょう。

2. 身体的な苦痛を和らげる

痛みの管理(ペインマネジメント)の大切さ

終末期の患者さんにとって、身体の痛みや不快感をしっかり管理することはとても大切です。痛みや不快感が続くと、精神的なストレスも増えてしまい、生活の質が大きく低下します。痛みの管理には、医師や訪問看護師、在宅ホスピスの支援を受けながら、薬や他のケアを組み合わせることが効果的です。患者さんが痛みを感じずに過ごせることは、残された時間を穏やかにするために非常に重要です。

  • オピオイド系の鎮痛剤などを正しく使います。オピオイド系とは、強力な鎮痛作用を持つ薬のグループで、モルヒネやオキシコドンなどがあります。これらの薬は、痛みを感じる神経に働きかけて痛みを和らげる効果があります。痛みを管理するために適切な薬を使うことで、患者さんが少しでも楽に過ごせるようになります。
  • 定期的に痛みの具合を確認し、その程度や頻度に合わせて薬の量や種類を調整します。痛みは日によって変わることもあるため、こまめにチェックし、その都度調整することが大切です。
  • 痛み以外にも、吐き気や呼吸困難、便秘などの症状にも早く対応します。これらの症状が放置されると、さらに痛みが悪化する可能性があるため、早めの対処が必要です。

非薬物療法も活用しよう

薬を使うだけでなく、患者さんがリラックスできる方法も効果があります。音楽療法やアロマセラピー、マッサージなど、患者さんに合った方法を見つけて取り入れることで、患者さんがよりリラックスでき、痛みも軽減されることがあります。

  • 音楽や香り、優しいマッサージなどで心地よい刺激を与えることで痛みを和らげることがあります。好きな音楽を聴いたり、心地よい香りに包まれることで、気持ちが落ち着き痛みが軽減されることがあります。
  • 静かな空間や自然光を取り入れるなど、五感を通じてリラックスできる環境作りも工夫しましょう。環境が心地よいと感じることで、患者さんの心も穏やかになり、身体的な痛みも緩和されることがあります。

また、家族がそばで一緒に時間を過ごすことも、患者さんにとっては大きな支えになります。家族の声や手のぬくもりは、患者さんに安心感を与え、リラックスにつながります。

3. 心理的・精神的なケア

患者さんと家族の心のケア

終末期には、患者さんだけでなく、ケアをする家族も心の負担を感じます。患者さんが不安や恐れを感じていることはもちろんのこと、家族も愛する人の死に向き合うことで、悲しみや不安、時には罪悪感を抱くことがあります。この時期には、患者さんと家族の両方に対する心のサポートが必要です。

  • カウンセラーや精神科医、ホスピスチームなどの専門家を利用して、感情を共有できる場を作ります。専門家のサポートを受けることで、患者さんも家族も少しでも心の負担を軽減することができます。
  • 患者さんが気持ちや不安を率直に話せる環境を提供します。患者さんが気持ちを自由に話せることで、心の中に抱えている不安を軽くすることができます。
  • 家族同士で感情を共有し、支え合うことが大切です。孤立しないように、家族のコミュニケーションを大事にしましょう。家族みんなで感情を分かち合うことで、互いに支え合うことができます。

スピリチュアルケアの役割

終末期には、患者さんが人生や死について深く考えることがあります。このようなとき、宗教的な信念や人生の意味を見つけるサポートをする「スピリチュアルケア」が重要です。スピリチュアルケアは、宗教者だけでなく、家族やケアスタッフも担うことができます。

  • 患者さんの信仰やスピリチュアルな価値観を尊重し、祈りや宗教的な儀式を希望に応じて取り入れます。患者さんが信仰に基づいた安心感を得られるようにすることが大切です。
  • 深い孤独感や不安を抱えている場合、その気持ちを丁寧に聞き、寄り添うことが大切です。患者さんの気持ちに寄り添うことで、心の安定を保つ手助けになります。

4. 専門的なサポート体制を活用する

医療チームとの連携

自宅で終末期ケアを行うためには、専門的な医療チームとの連携が必要です。訪問医療や訪問看護、在宅ホスピスを利用することで、患者さんに必要な医療処置やケアを自宅でも受けることができます。これにより、家族の負担も軽減され、安心してケアを行うことが可能になります。

  • 定期的に医師や看護師が訪問するスケジュールを組み、患者さんの状態をチェックします。
  • 緊急時の対応策をあらかじめ医療チームと共有し、必要なときにすぐに助けを受けられる体制を整えます。
  • ケアチームには、理学療法士、栄養士、ソーシャルワーカーなど様々な専門職が含まれており、必要に応じて相談することができます。

福祉サービスと地域の支援を活用する

自宅でのケアを続けるには、地域の福祉サービスや支援も十分に活用しましょう。ケア用品のレンタル、介護サービスの提供、地域のボランティアによるサポートなど、患者さんと家族を支えるさまざまな資源があります。

  • 医療機器や介護ベッド、移動の補助具などをレンタルすることで、患者さんの生活の質を上げることができます。
  • 介護ヘルパーや地域のボランティアの支援を受けることで、家族の負担も軽減できます。
  • 市役所の福祉窓口やケアマネジャーに相談して、適切なサービスや支援を紹介してもらいましょう。

「しんけあ」と「家族のしんけあ」のサービス紹介

自宅での終末期ケアを行う際、患者の心身のケアだけでなく、ケアを担う家族のサポートも非常に重要です。当社の看護サービス「しんけあ」では、患者が安心して最期の時を迎えられるよう、専門的な医療ケアと共に、心理的・精神的なサポートも提供しています。また、ケアを行うご家族に向けた「家族のしんけあ」では、家族自身の心身の負担を軽減し、ケアを継続して行うためのサポートを行います。

患者のQOL(生活の質)を高めるためには、家族のサポートが欠かせません。私たちは、家族が安心してケアを続けられるよう、丁寧な指導と適切なアドバイスを提供しています。

まとめ

自宅で終末期ケアを行うには、患者さんの意思を尊重し、痛みや不快感をきちんと管理し、心のケアをしっかり行うことが大切です。さらに、専門家や地域の福祉サービスと連携することで、家族の負担を減らし、患者さんが安心して最期の時間を過ごせる環境を作ることができます。これらの4つのポイントを押さえることで、患者さんと家族が心穏やかに過ごせるようになるでしょう。

投稿者プロフィール

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信岡 俊孝
経験と資格 信岡俊孝氏は2011年に看護師免許を取得し、13年間病院での勤務経験を持っています。京都の愛生会山科病院では消化器内科や循環器内科、整形外科など幅広い分野で臨床経験を積み、その後、福岡の長尾病院で透析科や回復期リハビリ病棟を担当しました。
2024年には、看護師の働き方改革を目指して株式会社ShiNを設立。

保有資格
看護師免許 (2011年取得)
AFP (Affiliated Financial Planner, 2024年取得)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
販売士2級
第一種衛生管理者免許
ビジネスマネジャー検定試験®
ビジネス法務エキスパート® (2級)
日本商工会議所簿記検定試験3級
第二種電気工事士

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