乳がんとは

乳がんは、乳房にある乳腺(にゅうせん)という組織から発生する悪性腫瘍(あくせいしゅよう)です。日本では女性が罹患(りかん)するがんの中で最も多い種類のひとつであり、特に40代から50代の女性に多く見られますが、若年層でも発症する可能性があります。

乳がんは早期発見であれば治療の成功率が高くなるため、定期的な検診(けんしん)や自己検診が非常に重要です。

男性もある?

男性も乳がんに罹患する可能性がありますが、その認知度は女性ほど広まっていません。男性の乳がんは非常に稀で、すべての乳がんの約1%未満とされています。しかし、男性も乳腺を持っているため、腫瘍が発生することがあります。男性の乳がんはしこりや皮膚の変化として現れることが多いため、早期発見と診断が難しいことがあります。したがって、男性も乳房の健康に注意を払い、異常を感じた場合には早めの医療機関への相談が大切です。

乳がんの原因とリスク要因

乳がんの原因は、まだ完全には解明されていませんが、いくつかのリスク要因が知られています。

  • 年齢: 年齢が上がるとともに、乳がんのリスクも増加します。
  • ホルモンの影響: 特にエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンは、乳がんの成長を促進することが知られています。
  • 遺伝(いでん): BRCA1やBRCA2といった特定の遺伝子の変異(へんい)により、乳がんのリスクが高まることがあります。
  • 生活習慣: 肥満(ひまん)、アルコールの過剰摂取(かじょうせっしゅ)、運動不足もリスクを高める要因とされています。

乳がんの症状

乳がんは早期には症状が現れないことが多いですが、進行するにつれて以下のような症状が見られることがあります。

  • 乳房のしこり
  • 乳房の形や大きさの変化
  • 乳頭からの分泌物(血液が混ざる場合もあり)
  • 乳房や脇の下の痛み
  • 乳房の皮膚のへこみやしわ

自己検診や定期検診でこれらの異変を早期に見つけることが重要です。

乳がんの診断

乳がんの診断には以下のような検査が用いられます。

  • マンモグラフィ: 乳房をレントゲン撮影することで、しこりや異常を確認します。
  • 超音波検査: マンモグラフィでは見つけにくい若年女性の乳腺密度が高い場合にも有効です。
  • MRI: より詳細な画像を得るための検査です。
  • 生検(せいけん): しこりの一部を採取して、顕微鏡(けんびきょう)でがん細胞があるかを調べます。

乳がんのステージ分類

乳がんは進行度合いにより、ステージ0からステージIVまで分類されます。

ステージ概要
ステージ0非浸潤(ひしんじゅん)がん。乳腺内にとどまり、他の組織に広がっていない。
ステージI腫瘍の大きさが小さく、リンパ節(せつ)への転移(てんい)がない。
ステージII腫瘍がやや大きく、リンパ節への転移がある場合がある。
ステージIII腫瘍が大きく、リンパ節や周囲の組織へ広がっている。
ステージIV腫瘍が遠隔部位(骨、肝臓、肺など)に転移している。

早期のステージでは治療の成功率が高く、定期検診により早期発見を目指すことが重要です。

乳がんの治療方法

乳がんの治療方法は、がんのステージや患者さんの体の状態に応じて異なります。以下の治療法が一般的です。

  • 手術: 腫瘍を部分的に切除する乳房温存手術や、乳房全体を切除する乳房切除術があります。
  • 放射線療法: がん細胞を破壊するために放射線を照射します。
  • 化学療法(かがくりょうほう): 抗がん剤を使用して、がん細胞の増殖を抑えます。
  • ホルモン療法: エストロゲン受容体(じゅようたい)があるがん細胞にはホルモン療法が有効です。
  • 分子標的治療: 特定の分子に作用する薬を使用して、がんの成長を抑制します。

乳がんの予防と早期発見

早期発見が乳がん治療の成功率を高める最も効果的な手段です。以下の対策が推奨されます。

  • 自己検診: 月に1回、自分で乳房の状態を確認しましょう。
  • 定期検診: 特に40歳以上の女性は、2年に1回のマンモグラフィ検診を受けることが推奨されています。
  • 生活習慣の見直し: 健康的な食生活、適度な運動、アルコールの摂取を控えることがリスク低減に繋がります。

まとめ

乳がんは早期発見と適切な治療によって、高い治癒率(ちゆりつ)を持つがんです。年齢を問わず、すべての女性にとって、自己検診と定期的な検診を行うことが大切です。生活習慣を見直すことでリスクを減らし、乳がん予防にも努めましょう。

【乳がんのステージと治療法】

ステージ進行度主な治療法
ステージ0非浸潤がん手術、放射線療法
ステージI腫瘍が小さく転移なし手術、放射線療法、ホルモン療法
ステージII腫瘍がやや大きくリンパ節転移あり手術、化学療法、ホルモン療法
ステージIII腫瘍が大きく広範囲に転移手術、化学療法、放射線療法
ステージIV遠隔転移あり化学療法、ホルモン療法、分子標的治療

乳がんは命に関わる病気ですが、早期発見と正しい治療で回復が期待できます。定期的な検診とセルフチェックを怠らないようにしましょう。

投稿者プロフィール

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信岡 俊孝
経験と資格 信岡俊孝氏は2011年に看護師免許を取得し、13年間病院での勤務経験を持っています。京都の愛生会山科病院では消化器内科や循環器内科、整形外科など幅広い分野で臨床経験を積み、その後、福岡の長尾病院で透析科や回復期リハビリ病棟を担当しました。
2024年には、看護師の働き方改革を目指して株式会社ShiNを設立。

保有資格
看護師免許 (2011年取得)
AFP (Affiliated Financial Planner, 2024年取得)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
販売士2級
第一種衛生管理者免許
ビジネスマネジャー検定試験®
ビジネス法務エキスパート® (2級)
日本商工会議所簿記検定試験3級
第二種電気工事士