老後の生活を心配している方々にとって、介護や医療の準備はとても重要です。特に「訪問看護」と「自費訪問看護」というサービス、名前は似ていますが、実は大きな違いがあるのです。この記事では、その違いをわかりやすくお伝えします。

訪問看護とは、看護師が自宅に来てくれて、医療的なケアや健康管理を行ってくれるサービスです。例えば、血圧を測ったり、薬の管理をしてくれたり、リハビリのサポートをしてくれるのです。病院に行かなくてもいいので、体にも優しく、安心して自宅で療養ができます。しかも、医師の指示に基づくため健康保険が適用されることが多く、費用も抑えられます。

一方、自費訪問看護は健康保険の適用がないため、費用は利用者の負担になります。でも、その分、あなたのライフスタイルや希望に合わせた、より柔軟で個別化されたケアを受けることができるのです。訪問の頻度や時間もあなたの希望に応じて調整可能です。

このガイドを通して、サービスの違いを詳しく解説し、老後の備えに役立つ情報をお届けします。正しい情報をもとに、自分や家族にとって最適なケアサービスを選ぶお手伝いができればと思います。どんな選択があなたの未来にとってベストなのか、一緒に考えていきましょう!

そもそも訪問看護とは

訪問看護は、医師の指示を受けて看護師や理学療法士などの専門職が患者の自宅に訪問し、医療ケアやリハビリテーションを提供するサービスです。このサービスは、特に退院後の患者や慢性的な健康問題を抱える方にとって貴重で有益な支援となります。訪問看護では、バイタルサインのチェックや薬の管理、創傷のケア、栄養指導など、患者の状態に応じた幅広い医療サービスを提供します。また、患者やその家族に対して、介護に関するアドバイスや指導を行うこともあります。これにより、患者は安心して自宅での生活を続けることができ、家族もサポートを受けながら介護を行うことが可能です。

  • 対象者: 広範な年齢層(特に医療的ケアが必要な方)

高齢者や持病を抱える方、術後のケアが必要な方も対象です。

  • サービスの内容: 健康状態の観察、服薬管理、リハビリテーション、医療機器の管理など

さらに、包括的な健康相談や栄養指導も提供され、患者の生活全般をサポートします。

  • 費用負担: 主に健康保険が適用されるため、患者の負担は制限されています

一部のサービスはケースにより追加料金が発生する場合がありますが、通常は保険でカバーされます。

  • 利用条件: 医師の訪問看護指示書が必要

この指示書には、患者の必要とする具体的な看護内容が記載されることが一般的です。

訪問看護は、患者の生活の質を向上させるだけでなく、家庭での医療環境を整える役割も果たします。専門スタッフが定期的に訪問し、患者やその家族と連携を取りながら、健康維持を目指します。自宅での療養を希望する多くの患者やその家族にとって、訪問看護は欠かせないサービスとなっています。緊急時には、迅速な対応が可能で、安心して在宅療養を続けることができます。

訪問看護を受ける3つの方法

訪問看護を受ける方法には、以下の三つがあります。

  1. 介護保険を利用する方法

介護保険を利用する場合、まずは要介護認定を受けている方が対象となります。この認定は、市区町村の窓口で申請を行い、専門の担当者が面接や調査を行った上で決定されます。認定を受けると、看護師や理学療法士、作業療法士などのリハビリスタッフが定期的に自宅を訪問し、必要な医療ケアやリハビリテーションを提供します。訪問頻度は、個々のケアプランに応じて決まります。介護保険を利用することで、通常は高額になりがちな医療サービスやリハビリテーションの費用が大部分カバーされるため、家計への経済的な負担を大幅に軽減することが可能です。また、家族の介護負担も軽減され、安心して生活を続けることができるようになります。

  1. 医療保険を利用する方法

医療保険を利用する方法もあります。この場合、病気や怪我による特定の医療ケアが必要な方が対象です。例えば、慢性疾患や術後のケアが必要な方などが含まれます。医療保険を利用した訪問看護では、主治医の指示に基づいて看護師や理学療法士などの専門スタッフが自宅を訪問し、必要な医療ケアを提供します。これにより、例えば、傷の処置、リハビリテーション、または薬の管理などが可能です。医療保険を利用することで、入院せずに自宅で安心して治療を進めることが可能です。自宅でのケアは、患者にとって心理的な安心感をもたらし、家族とも一緒に過ごせるという利点があります。

  1. 自費でサービスを受ける方法

介護保険や医療保険が適用されない場合でも、自費で訪問看護を受けることができます。この方法では、訪問看護サービスの内容や訪問頻度を自由に選ぶことができるため、自分のライフスタイルや健康状態にぴったり合ったケアを受けることが可能です。例えば、通院が難しい方や、特定の医療ケアが必要な方にとって、カスタマイズされたサービスは非常に有用です。ただし、費用は全額自己負担となるため、事前にどの程度の費用がかかるのか、またその費用が自分の予算内に収まるかどうかを十分に検討することが重要です。これらの方法を理解し、自分や家族の状況に合った最適な方法を選ぶことで、安心して質の高い訪問看護を受けることができます。訪問看護は、健康維持だけでなく、心の支えにもなる重要なサービスです。

介護保険での訪問看護?

介護保険は、65歳以上の高齢者や40歳以上で特定の疾病を持つ方を対象とした国の公的制度です。この制度は、高齢者が自立した生活を送るためのサポートを提供し、訪問介護やデイサービス、施設入所など多様なサービスを含んでいます。訪問介護では、専門の介護士が自宅に訪問し、日常生活のサポートを行います。デイサービスでは、日中に施設で食事やリハビリ、レクリエーションを提供し、社会的交流を促進します。また、施設入所では、24時間体制での介護を受けることができ、重度の介護が必要な方にも対応しています。これにより、高齢者やその家族の負担を軽減し、安心して生活を続けることが可能となります。

  • 対象者: 65歳以上の方、または40歳以上で特定の疾病を持ち、日常生活で支援が必要な方
  • サービスの内容: 訪問介護、通所介護、施設サービス、リハビリテーション、介護予防サービスなど、多様な支援を提供
  • 費用負担: 1割〜3割の自己負担が必要で、これは収入や資産状況に応じて設定されます
  • 利用条件: 利用開始には市町村による要介護認定を受けることが必要で、具体的なサービス内容は個別のケアプランによって決定されます

医療保険での訪問看護?

医療保険での訪問看護は、主に病院から退院した後の自宅療養を支援するために提供される重要な医療サービスです。このサービスは、医師の指示に基づいて訪問看護師が患者の自宅を定期的に訪問し、必要な医療的ケアや指導を提供します。具体的なケアには、創傷ケアや褥瘡の管理、点滴や注射の実施、薬の管理や服薬指導、リハビリテーション指導、そして患者の健康状態の包括的な監視が含まれます。これに加え、末期患者のための緩和ケアや精神的サポートも行われることがあり、患者やその家族の心理的負担を軽減する役割を果たしています。

また、訪問看護は患者が自宅で安全かつ適切に治療を受けながら生活の質を維持し、さらに向上させることを目的としています。特に高齢者や慢性疾患を抱える患者にとっては、自宅という慣れ親しんだ環境で安心して療養ができることが大きなメリットです。

  • 対象者: 医師が訪問看護が必要と判断し、具体的な看護計画が立てられた患者
  • サービスの内容: 医療ケア(創傷ケア、点滴、注射)、薬の管理と指導、リハビリテーション、健康状態の監視、緩和ケア、精神的サポートなど多岐にわたります。
  • 費用負担: 医療保険の適用により、訪問看護にかかる費用の一部は保険でカバーされますが、患者毎に自己負担分が異なります。詳細は各保険制度の適用範囲により決まります。
  • 利用条件: 訪問看護サービスを利用するためには、医師からの指示が必要であり、訪問看護ステーションとの正式な契約に基づいてサービスが提供されます。

医療保険での訪問看護は、入院生活に比べて患者本人やその家族への負担を軽減し、自由度の高い自宅療養を実現するための重要な手段です。患者が安心して自宅で療養できるよう、その生活環境に適した総合的な支援が提供されます。

自費訪問看護とは?

自費訪問看護は、介護保険や医療保険の適用を受けず、全額自己負担で利用する看護サービスです。このサービスは、主に通院が難しい方や特別なケアが必要な場合に利用されます。例えば、高齢者の方や障がいを持つ方、または長期間の療養が必要な方にとって、医師の指示がない状況でも、自分のニーズに合わせて柔軟に利用できる点が大きな特徴です。

  • 対象者: 年齢や疾病の有無にかかわらず、誰でも利用可能です。特に、介護保険や医療保険によるサポートが受けられない方にとっては、重要なサービスと言えるでしょう。
  • サービスの内容: 看護師による健康管理や医療ケア、また日常生活の支援を行います。例えば、バイタルサインのチェックや服薬管理、必要に応じた医療機器の操作指導などが含まれます。さらに、日常生活を支えるための家事援助や相談支援も行えるため、総合的なサポートを提供します。
  • 費用負担: すべての費用は自己負担となりますが、その分、サービス内容や頻度を自由に選択することが可能です。予算に応じたプランを組むことができるため、利用者自身のライフスタイルに合わせた看護ケアを受けることができます。
  • 利用条件: 要介護認定や医師の指示は不要で、利用を希望する方が直接申し込みを行うことができます。このため、自分自身の判断で迅速に看護サービスを開始することが可能です。

医療行為を受けるための法的な規制

日本において医療行為を受けるためには、いくつかの法的な規制があります。まず、医療行為を提供するためには、医師、看護師、理学療法士などの国家資格を有する専門職が必要です。これらの専門職は、法的に定められた教育課程を修了し、国家試験に合格した上で、資格を取得しています。

さらに、医療施設そのものも法的に規制されており、衛生環境や設備、安全対策の基準を満たさなければなりません。これには、クリニックから大病院までが含まれ、定期的な監査と評価が行われます。また、患者のプライバシーと権利を守るための法規も存在し、個人情報の取り扱いやインフォームド・コンセント(説明と同意)のプロセスも重要な規定となっています。

これに加えて、医療行為を受ける際には患者の同意が必要です。特に緊急時を除き、医師は患者に対して診断と治療方法について詳しく説明し、患者の理解と同意を得た上で治療を開始することが求められます。この過程はインフォームド・コンセントと呼ばれ、患者の自己決定権を尊重するための重要な手続きです。

以上のような法的な規制は、医療サービスが安全かつ質の高いものであることを保証し、患者の権利を保護するために存在しています。

そのため、医療行為を含む場合はいずれも訪問看護指示書が必要です。医師からの指示書は、訪問看護サービスを受けるための基盤となります。この指示書には、具体的な医療行為の内容、必要なケアの頻度や方法、使用する医療機器などが詳細に記載されており、訪問看護師はこれに基づいて専門的なケアを提供します。このため、患者が適切な医療ケアを自宅で受けるためには、まずは担当する医師と相談し、必要な指示書を発行してもらうことが欠かせません

介護保険、医療保険、保険外(自費訪問看護)の違い

項目介護保険医療保険保険外(自費訪問看護)
対象者65歳以上、40歳以上の特定疾病患者病気やけがの治療が必要なすべての人年齢や疾病にかかわらず、誰でも利用可能
費用負担1割〜3割負担(収入により異なる)1割〜3割負担(収入により異なる)全額自己負担
サービス内容介護中心のサポート(訪問介護、デイサービス等)医師や看護師による治療、看護サービス看護師による医療ケア、健康管理、生活支援
利用の自由度要介護認定が必要医師の指示が必要認定や医師の指示不要
提供時間の柔軟性制限あり基本的に病院や診療所の営業時間内柔軟に対応可能
ケアの範囲日常生活の介助、予防的なケア治療や診断、入院・外来治療利用者のニーズに合わせたケア全般

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なぜ保険外の訪問看護が必要なのか

保険外の訪問看護が必要とされる理由は多岐にわたります。まず、自費訪問看護は利用者のライフスタイルやニーズに応じた柔軟なサービスを提供できる点が大きなメリットです。介護保険や医療保険の範囲内では対応しきれない特殊なケアや、特定の時間帯に限定した支援を希望する場合、自費訪問看護はその期待に応えることができます。

例えば、介護保険適用外の若年層や、医師の指示が必要ない健康管理サポートを求める方にとって、自費訪問看護は貴重な選択肢です。また、退院後の短期間での集中的なリハビリや、旅行中の医療サポートなど、通常の保険ではカバーされない状況にも対応可能です。

さらに、自費訪問看護の利用者は、サービス内容やスケジュールを自分で決定できるため、他の家族や介護者との調整が容易になります。その結果、利用者自身の生活の質向上や、家族の負担軽減にも寄与します。柔軟で個別対応ができる自費訪問看護は、個々のライフスタイルに合わせた最適なケアを提供する重要な役割を果たしているのです。

どちらを選ぶべきか?

介護保険は、公的な支援が必要な高齢者にとって、経済的負担を軽減しつつ基本的な生活支援を受けることができる制度です。この制度は、特に一人暮らしや家族の支援が難しい高齢者にとって、安心して暮らせるサポートを提供します。しかし、介護保険によるサービスには種類や利用時間に制限があり、利用者の個別のニーズに完全に応じきれない場合があるのも事実です。例えば、特定の趣味活動をサポートするようなサービスが不足していることがあります。

一方で、自費訪問看護は、自由度が高く、個人のライフスタイルや希望に合わせたサービスを受けたい人に適しています。このサービスは、自分のペースで生活したい方や、特定の時間帯にサポートが必要な方にとって魅力的です。ただし、費用が全額自己負担となるため、その分経済的な負担が大きくなる可能性があります。特に、特定の医療ケアを必要とする場合や、柔軟な対応を求める方にとっては、質の高いサービスを受けられる一方で、コスト管理が重要となります。

最後に

老後の備えとして、介護保険と自費訪問看護を賢く使い分けることがますます重要になっています。介護保険を活用すれば、生活費や医療費の負担が軽くなる反面、公的支援には限界があることを忘れずに。例えば、サービスの頻度や時間が限られたり、特別な専門知識が必要なケアが求められる場合もあります。こんな時には、柔軟な対応が求められることも。そこで、保険外の訪問看護を考えてみる価値があります。

自費訪問看護は、利用者のニーズに応じたオーダーメイドのサービスを提供できるので、一歩先行くきめ細やかなケアが可能です。さらに、介護保険だけではカバーしきれない部分をしっかりサポートしてくれるため、安心感も得られます。だからこそ、両者のメリットとデメリットを理解し、自分にぴったりのケアを選ぶことが、安心して老後を過ごすための大切なステップです。

人生の後半を不安なく楽しむために、今のうちから情報を集め、あなたやご家族に最適な選択肢を見つけておきましょう。未来の自分に、安心というプレゼントを贈る準備を始めましょう!

投稿者プロフィール

信岡 俊孝
信岡 俊孝
経験と資格 信岡俊孝氏は2011年に看護師免許を取得し、13年間病院での勤務経験を持っています。京都の愛生会山科病院では消化器内科や循環器内科、整形外科など幅広い分野で臨床経験を積み、その後、福岡の長尾病院で透析科や回復期リハビリ病棟を担当しました。
2024年には、看護師の働き方改革を目指して株式会社ShiNを設立。

保有資格
看護師免許 (2011年取得)
AFP (Affiliated Financial Planner, 2024年取得)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
販売士2級
第一種衛生管理者免許
ビジネスマネジャー検定試験®
ビジネス法務エキスパート® (2級)
日本商工会議所簿記検定試験3級
第二種電気工事士