1. なぜ今「自費訪問看護/保険外看護サービス」なのか

1. なぜ今「自費訪問看護/保険外看護サービス」なのか

日本では在宅医療や在宅看護のニーズが年々高まり、訪問看護ステーションによる保険適用の訪問看護が広く利用されています。しかし、保険制度には「回数・時間・内容」の上限やルールがあり、すべてのニーズをカバーできるわけではありません。

実際、公的保険による訪問看護は、医療保険の場合「原則週3回まで」「1回30〜90分程度」が一般的であり、介護保険も要介護度ごとの支給限度額の範囲で利用回数・時間が制限されます。(医療法人社団豊正会 大垣中央病院)

「もっと長くそばにいてほしい」「夜間やイベント時にも見てほしい」「保険の枠から外れたケアをお願いしたい」

こうしたニーズに応えるため、自費訪問看護・保険外看護サービス(プライベートナース等) が選ばれるケースが増えています。(医療法人社団豊正会 大垣中央病院)


2. まず押さえておくべき「保険適用の訪問看護」の基本

自費サービスを理解する前に、「保険適用の訪問看護」がどういう仕組みかを整理しておきます。

2. まず押さえておくべき「保険適用の訪問看護」の基本

2-1. 医療保険・介護保険での訪問看護

  • 医療保険
    • 年齢問わず対象(ただし介護保険優先の高齢者は除外)
    • 原則週3回まで(特定疾病や状態で増回可)
    • 1回30〜90分程度の訪問が基本
    • 自己負担は1〜3割(年齢・所得による)(医療法人社団豊正会 大垣中央病院)
  • 介護保険

訪問看護の自己負担額は、例えば医療保険1割負担・30〜90分の訪問で1回あたり約800〜1,100円程度が目安とされています。(医療法人社団豊正会 大垣中央病院)

2-2. 保険サービスの「限界」

保険適用の訪問看護では、主に以下のような制約があります。(医療法人社団豊正会 大垣中央病院)

  • 回数・時間に上限(例:医療保険は原則週3回まで)
  • 「医療・看護」に直接関わる行為が中心で、
    • 長時間の見守り
    • 旅行・イベントへの付き添い
    • 家事代行や趣味活動の支援
      などは対象外
  • 支給限度額を超えた分は全額自己負担(事実上、自費扱い)

この「保険の枠を超えるニーズ」に対して用意されているのが、自費訪問看護・保険外看護サービスです。


3. 自費訪問看護・保険外看護サービスとは何か

3. 自費訪問看護・保険外看護サービスとは何か

3-1. 定義

複数の事業所は、自費訪問看護(自費サービス)を次のように定義しています。

つまり、

保険制度のルールに縛られず、利用者と事業者の契約で提供される訪問看護

と整理できます。

3-2. 保険サービスと何が違うのか

公的保険の訪問看護との違いを整理すると、以下のようになります。(医療法人社団豊正会 大垣中央病院)

項目保険適用の訪問看護自費訪問看護・保険外看護
法的根拠医療保険法・介護保険法利用者と事業者の個別契約
費用負担1〜3割負担10割(全額自己負担)
時間・回数制限あり(週回数・支給限度額など)基本的に上限なし(契約次第)
サービス内容医療・看護行為が中心医療・看護+生活支援・付き添い等まで柔軟

4. 自費/保険外看護でできること — 具体的なサービス内容

4. 自費/保険外看護でできること — 具体的なサービス内容

4-1. 医療ケア・看護ケア

自費訪問看護でも、医師の指示に基づき、保険訪問看護と同様の医療的ケアを提供できます。(日本プライベート看護オフィシャルサイト<東京の訪問看護、プラベート看護>)

  • バイタルチェック、症状観察
  • 内服・注射・点滴の管理
  • カテーテル・胃ろう・在宅酸素などの管理
  • 褥瘡(床ずれ)や創傷処置
  • 退院直後の経過観察・再入院予防の支援

4-2. 生活支援・リハビリ的支援

時間に余裕を持ったマンツーマンの看護として、下記のような支援を組み合わせるケースも多く見られます。(成仁会グループ)

  • 清拭・入浴介助・整容などの清潔ケア
  • 食事介助、摂食・嚥下サポート
  • 排泄ケア、オムツ交換
  • 自宅内での移動・起居動作の見守り・介助
  • 簡単な運動・リハビリの見守り

4-3. 外出・イベントへの付き添い

保険サービスでは対象外となる、以下のような「外出付き添い」も、自費訪問看護の代表的なニーズです。(医療法人社団豊正会 大垣中央病院)

  • 通院付き添い(移動・受付・医師への病状説明補助など)
  • 買い物・散歩などの外出サポート
  • 冠婚葬祭や同窓会、コンサートなどのイベント参加時の付き添い
  • 近距離〜長距離旅行への同行(移動中のバイタル管理・医療処置など)

日本プライベート看護などでは、「病院や施設だけでなく、自宅や外出先、旅行先まで看護師が同行し、24時間365日の対応が可能」といった特徴を前面に出しています。(日本プライベート看護オフィシャルサイト<東京の訪問看護、プラベート看護>)

4-4. 長時間滞在・夜間の見守り・終末期ケア

自費サービスでは、長時間の滞在や夜間の常駐も契約次第で可能です。(成仁会グループ)

  • 日中数時間〜丸一日の見守り・ケア
  • 夜間〜早朝の見守り(不眠・不安の強い方、術後・終末期など)
  • 自宅での看取りを支える24時間体制のサポート

成仁会訪問看護ステーションなどは、

「回数・滞在時間・訪問場所の制約なく、長時間のマンツーマン看護が可能」
と打ち出しており、家族が外出や休息を取る間の「レスパイトケア」としても活用されていることがわかります。(成仁会グループ)


5. 費用の構造と「相場感」— どれくらいかかるのか

自費訪問看護の料金は、事業者ごとに自由設定です。ただし、いくつかの医療機関・事業所が**「相場」や具体的な料金表**を公表しています。

5. 費用の構造と「相場感」— どれくらいかかるのか

5-1. 一般的な相場(医療機関・事業者の公開情報)

  • 大垣中央病院(岐阜)
    → 自費訪問看護の相場として、
    「看護師による訪問は1時間あたり8,000〜12,000円程度」 と解説。(医療法人社団豊正会 大垣中央病院)
  • 橋善(敬愛訪問看護ステーション)のコラム
    → 自費訪問看護は、
    「30分以上1時間未満で約8,000円前後、1時間以上で12,000円程度が目安」 と紹介。(hashizen.jp)

これらを総合すると、首都圏〜都市部での一般的な自費訪問看護は、1時間あたりおおよそ8,000〜12,000円程度が目安と考えられます(もちろん、これを上下する事業者も多数存在)。

5-2. 実際の自費サービス料金例

いくつかの事業者の公開料金を比較すると、相場の肌感がより具体的になります。

  • 成仁会訪問看護ステーション(東京・自費サービス)(成仁会グループ) 時間 料金(税込) 30分未満 5,000〜7,000円 60分未満 8,000〜10,000円 90分未満 10,000〜12,000円 120分未満 15,000〜17,000円 120分以上 30分ごとに5,000円追加
  • JWS陽だまりの郷(自費訪問リハ・看護)(jws-c.jp) 利用時間 単価(税別) 1時間のみ 8,000円/時間 2〜8時間 6,000円/時間 8時間超 5,000円/時間
  • 花訪問看護ステーション(福井・自費訪問看護)(hana-nurse.com) 種別 時間 料金(税込) 単発利用 30分 4,000円 単発利用 60分 8,000円 定期利用 30分 3,500円 定期利用 60分 7,000円
  • 株式会社BgA(神奈川・自費訪問看護)(株式会社BgAの自費訪問看護サービス)
    • 30分:5,500円
    • 追加15分ごと:2,750円
    • 交通費:1,100円/回
    • 休日・時間外・2名体制などは別途加算
  • 日本プライベート看護(東京・プライベート看護)(日本プライベート看護オフィシャルサイト<東京の訪問看護、プラベート看護>)
    • 時間単価:15,000円(18時以降は別途相談)
    • 土日祝:5%増、年末年始:35%増
    • 交通費:往復実費(上限2,000円を目安)

ポイント:

  • 日中1時間あたり 7,000〜12,000円 程度に集中
  • 長時間になると、時間単価を少し下げてパッケージ化する事業者も多い
  • 夜間・早朝・土日・年末年始は25〜35%程度の割増がかかる事業者もある(hashizen.jp)
  • 多くの事業者で、交通費や医療材料費、特別な管理(人工呼吸器・在宅酸素など)には別料金が設定されている(成仁会グループ)

6. 利用までの流れ — 失敗しないためのステップ

6. 利用までの流れ — 失敗しないためのステップ

多くの事業者が、自費訪問看護の利用までをおおむね次のような流れで案内しています。(医療法人社団豊正会 大垣中央病院)

  1. 相談・問い合わせ
    • 電話・Webフォームなどで問い合わせ
    • 病状・希望する支援・希望時間帯を伝える
  2. ヒアリング・見積もり
    • 看護師・コーディネーターが詳細をヒアリング
    • 提供可能なサービス範囲と概算費用の説明
  3. プラン提案・契約
    • 回数・時間・内容・料金・割増条件・キャンセル規定などを調整
    • 契約書で合意内容を明文化
  4. サービス開始・継続的な見直し
    • 実際の利用状況や病状の変化に応じて、プランを適宜見直す

重要なのは、「初回の相談時にできるだけ具体的にニーズと予算を伝えること」と「契約内容を必ず書面で確認すること」です。


7. メリット・デメリットを冷静に整理する

7. メリット・デメリットを冷静に整理する

7-1. 自費訪問看護/保険外看護のメリット

  1. 時間・回数・内容の自由度が高い
    • 長時間滞在・夜間常駐・24時間体制など、保険では難しい枠組みも契約次第で実現可能。(成仁会グループ)
  2. “生活全体”を支えるきめ細かいケア
  3. 家族の負担軽減
    • 長時間のマンツーマン看護により、家族が外出・就労・休息の時間を確保しやすくなる。(成仁会グループ)
  4. 終末期ケア・看取りへの活用

7-2. デメリット・リスク

  1. 費用負担が大きい
  2. サービス品質のばらつき
  3. 契約や責任範囲の理解不足によるトラブル
    • 追加料金・キャンセル料・緊急時対応・医療事故時の責任などを曖昧なまま契約すると、後々トラブルになりやすい。(成仁会グループ)
  4. 長期継続性の問題
    • 人材不足や料金改定、事業撤退などにより、長期間同じ事業者に依頼し続けられないケースもあり得る。

8. 賢く選ぶためのチェックリスト

実際に事業者を選ぶ際は、次のポイントを一つずつ確認すると失敗が減ります。

  1. 看護師の資格・経験(特に終末期ケア・医療的ケア児など)
  2. 提供可能なサービス範囲(医療行為・生活支援・外出付き添いなど、どこまで対応するか)
  3. 料金表と追加料金の条件(夜間・早朝・休日・年末年始・交通費・医療材料費・2名体制など)(成仁会グループ)
  4. 契約書の有無と内容(責任範囲、キャンセル規定、支払方法、個人情報の扱いなど)
  5. 医師・ケアマネとの連携体制(情報共有、指示書の有無、緊急時の対応)(医療法人社団豊正会 大垣中央病院)
  6. 口コミ・実績・事例紹介(事業所HPの事例や利用者の声を確認)(日本プライベート看護オフィシャルサイト<東京の訪問看護、プラベート看護>)
  7. 複数社の比較見積もり(条件が近いプランで料金・内容・柔軟性を比較)

9. まとめ — 「何を優先したいか」を明確にして選ぶ

自費訪問看護・保険外看護サービスは、

  • 保険サービスだけでは満たせないケア
  • ライフイベントや終末期ケア
  • 家族の負担軽減やQOL向上

を実現するための、非常に頼りになる選択肢です。

一方で、費用負担は小さくなく、事業者ごとの品質差も存在します。
だからこそ、

  • 自分たちが何を優先したいのか(安全・時間・生活の質・家族の休息など)
  • その目的に対して、その料金を払う価値があるか

を冷静に見極めることが重要です。

公的保険の訪問看護・介護サービスと上手に組み合わせつつ、必要に応じて自費サービスを「ピンポイント」または「一定期間だけ」活用する——。
そんな使い方が、家計と生活のバランスを取りながら“賢く”選ぶコツと言えるでしょう。

「何を優先したいか」を明確にして選ぶ

「しんけあ」および「家族のしんけあ」のサービス紹介

自費看護サービスをお探しの方に向けて、当社の提供するサービスをご紹介します。

しんけあ

「しんけあ」は、個人のニーズに合わせた自費訪問看護サービスです。高齢者の介護や手術後のケア、終末期のサポートなど、幅広い場面で看護師が自宅に訪問し、専門的なケアを提供します。

  • 特徴:
    • オーダーメイドのケアプランを提供
    • 経験豊富な看護師による医療的サポート
    • 24時間対応可能な柔軟なサービス

家族のしんけあ

「家族のしんけあ」は、遠方に住んでいるご家族に代わって、私たちが日常的な看護・介護をサポートするサービスです。長期的な見守りや、短期間のサポートも提供しており、家族に代わる安心のケアを実現します。

  • 特徴:
    • 遠方にいる家族に代わって日常的なケアを実施
    • 定期的な報告と見守りサービス
    • 急な依頼にも柔軟に対応

「しんけあ」および「家族のしんけあ」の詳細や利用方法については、ぜひお問い合わせください。専門のスタッフが丁寧に対応いたします。

まとめ

自費訪問看護や保険外医療サービスは、保険でカバーできないケアを受ける際に柔軟で効果的な選択肢です。サービス内容や費用、看護師の経験などをよく考えながら、自分や家族に合った最適なサービスを選ぶことが大切です。依頼する前に事業者としっかり相談し、納得のいくケアを受けられるように準備しましょう。また、事業者とのコミュニケーションを通じて、自分のニーズを正確に伝えることが重要です。これにより、より安心してサービスを利用できるようになります。

引用参考:

投稿者プロフィール

信岡 俊孝
信岡 俊孝
経験と資格 信岡俊孝氏は2011年に看護師免許を取得し、13年間病院での勤務経験を持っています。京都の愛生会山科病院では消化器内科や循環器内科、整形外科など幅広い分野で臨床経験を積み、その後、福岡の長尾病院で透析科や回復期リハビリ病棟を担当しました。
2024年には、看護師の働き方改革を目指して株式会社ShiNを設立。

保有資格
看護師免許 (2011年取得)
AFP (Affiliated Financial Planner, 2024年取得)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
販売士2級
第一種衛生管理者免許
ビジネスマネジャー検定試験®
ビジネス法務エキスパート® (2級)
日本商工会議所簿記検定試験3級
第二種電気工事士

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