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保険外看護で起業する理由
現代社会において、少子高齢化が進む中で、日本の医療・介護制度では十分に対応しきれないニーズが増えています。例えば、「住み慣れた自宅で最後を迎えたい」「家族の負担を軽減したい」という要望に対して、保険内サービスでは時間的・内容的に制約が多い現状があります。こうした課題に応えるための柔軟なケアを提供できるのが保険外看護です。
私が起業を決意したのは、こうした現場の声を間近で聞き、制度の枠組みだけでは解決できない現実に直面したことがきっかけです。保険外看護を通じて、利用者一人ひとりの個別のニーズに応えることで、生活の質(QOL)を向上させ、家族にも安心を届けたい——その思いが私の原動力です。
さらに、保険外看護は、医療機関や保険内サービスでは提供しきれない、利用者の「その人らしい生活」を支える役割を担います。例えば、リハビリテーションの延長や専門的なアドバイス、急な外出対応など、柔軟性の高いサービスが求められています。これらのサービスは、利用者の安心感を高めるだけでなく、家族の介護負担を大幅に軽減する効果があります。
起業に必要なマインドセット
1. 失敗を恐れずに挑戦する気持ち
起業は成功と失敗の連続です。計画が思い通りに進まないこともあるでしょう。しかし、失敗は新たな学びや改善のきっかけです。例えば、私が初めて保険外看護の事業をスタートさせた際、予想外のコストや集客の難しさに直面しました。しかし、それらの失敗から得た教訓を活かし、ターゲット層やサービス内容を見直すことで、改善の道が開けました。
起業家として重要なのは、失敗を避けることではなく、それを成長の糧にすることです。
2. 柔軟な思考と適応力
医療や介護の現場は日々変化します。特に保険外サービスでは、利用者のニーズに即座に対応する柔軟性が求められます。例えば、ある利用者が急な外出サポートを希望した際、スケジュールを調整し迅速に対応できたことが顧客満足度向上につながりました。
また、現場のフィードバックを迅速に取り入れることで、サービスの質を向上させることができます。例えば、認知症の進行を遅らせる新しいリハビリプランの導入や、夜間の緊急対応を充実させるといった柔軟な対応が求められます。
3. 長期的なビジョンと我慢強さ
保険外看護のビジネスは、短期間で大きな成果を上げるのは難しい分野です。だからこそ、長期的なビジョンが必要です。
例えば、「地域社会に根差した訪問看護サービスを確立する」という目標を持つことで、日々の地道な努力が将来の成功につながるというモチベーションになります。目先の利益だけでなく、利用者やその家族に対して持続可能な価値を提供するための忍耐力も重要です。
また、目標を定量的に設定することで、進捗を確認しやすくなります。例えば、1年目に10人の定期利用者を獲得する、3年目に地域全体の認知度を30%向上させるといった具体的な目標を掲げることで、着実に成長を実感できます。
起業準備のステップ
1. 市場調査とニーズの把握
地域ごとに異なる保険外看護のニーズを理解するためには、市場調査が欠かせません。例えば、高齢化が進む地域では訪問看護や認知症ケアの需要が高まる傾向があります。また、働き盛り世代が多い都市部では、短時間のサポートや夜間対応のニーズが見込まれます。
フィールドリサーチやアンケート調査を通じて、どのようなサービスが求められているのかを具体的に把握し、ターゲット層に最適なサービスを設計しましょう。
さらに、競合分析も重要です。他の保険外サービス提供者がどのようなサービスを展開しているのか、強みや弱みを把握することで、自社の差別化ポイントを明確にできます。
2. サービス内容の選定とターゲット層の設定
提供するサービス内容を明確にし、それに基づいてターゲット層を絞り込みます。例えば、以下のようなサービスが考えられます:
- 外出付き添いサービス:買い物や病院受診の際の同行サポート
- ターミナルケア:自宅で最期の時間を穏やかに過ごすためのケア
- 認知症ケア:進行を遅らせるリハビリや家族へのアドバイス
- リモートケア:テクノロジーを活用した遠隔健康相談やモニタリング
ターゲット層を具体的に設定することで、効果的なマーケティングや営業戦略が立てやすくなります。
3. 実現可能なビジネスモデルの設計
料金体系や運営計画を明確にすることは、事業成功のために重要です。
- 料金設定: 顧客が利用しやすい価格帯を設定しつつ、事業の持続可能性を確保。
- スモールスタート: 最小限の人員や設備で始め、需要に応じて規模を拡大。
- 差別化ポイントの明確化: 他社と差別化するための付加価値を設定。たとえば、「看護師による高品質なケア」「利用者の要望に応じた柔軟な対応」など。
また、顧客との信頼関係を構築するために、初回利用割引や無料カウンセリングを提供するなど、顧客が利用を始めやすい工夫を取り入れることも有効です。
こうした準備を丁寧に行うことで、起業後の課題を最小限に抑え、スムーズに事業を進めることができます。
最後に
保険外看護での起業は、挑戦と学びの連続ですが、その分大きなやりがいがあります。利用者やその家族の生活の質を向上させることは、社会的な意義も高く、起業家自身にとっても大きな成長の機会です。しっかりとした準備と熱意を持って、あなたのビジョンを実現してください。
また、この内容をまとめた電子書籍は、これから保険外看護での起業を目指す方々にとって、道しるべとなる実践的なガイドブックです。具体例やノウハウが詰まったこの書籍は、実際の事業計画や現場での活用にも役立つ一冊となっています。ぜひお手に取って、次のステップに進むヒントとしてご活用ください。
参考サイト:いしかわ起業小町、移動から付き添いまで、ワンストップで女性看護師がサポート(https://kigyokomachi.com/voice/voice-2398/)
いろいろナース、将来の独立の選択肢?看護師がおこなう保険外・自費サービス(https://iroiro-nurse.net/non-insured/)
Empowerednurses.org、Top 10 Reasons to Start a Nurse-Owned Business(https://empowerednurses.org/top-10-reasons-to-start-a-nurse-owned-business/)
書籍紹介:
『あなたは看護師起業で失敗しない:半年後に見えてくる起業の現実』著:信岡俊孝
内容:この電子書籍は、保険外看護ビジネスに挑戦する看護師や起業家を支援するための書籍です。看護師として培った経験を起業の力に変えたいと考える方へ、著者自身の失敗談や実践的なアドバイスを通じて、スムーズな起業と成功への道筋を示します。Amazonで出版中。
発売日: 2025年1月10日
出版社: Amazon
ASIN: B0DQCL9SSV
投稿者プロフィール
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経験と資格 信岡俊孝氏は2011年に看護師免許を取得し、13年間病院での勤務経験を持っています。京都の愛生会山科病院では消化器内科や循環器内科、整形外科など幅広い分野で臨床経験を積み、その後、福岡の長尾病院で透析科や回復期リハビリ病棟を担当しました。
2024年には、看護師の働き方改革を目指して株式会社ShiNを設立。
保有資格
看護師免許 (2011年取得)
AFP (Affiliated Financial Planner, 2024年取得)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
販売士2級
第一種衛生管理者免許
ビジネスマネジャー検定試験®
ビジネス法務エキスパート® (2級)
日本商工会議所簿記検定試験3級
第二種電気工事士
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