採血結果の見方ガイド

採血結果の読み方は、健康管理において欠かせないスキルです。このガイドでは、一般の方や健康管理に興味を持つ方、さらには医療従事者の皆さんに向けて、主要な採血項目の読み解き方とその意味をわかりやすく解説します。定期的な健康診断や体調不良の際の診察では、採血結果が健康のカギを握る指標となります。これを理解することで、あなたの健康状態をより深く理解し、必要な対策を取る力がつくでしょう。この知識を活かして、健康生活をもっと楽しんでください!

採血結果の項目一覧

赤血球(RBC)

  • 役割: 赤血球は全身に酸素を運ぶ役割を担っており、酸素を体の隅々まで効率的に届けることで、各臓器が正常に機能するのを助けます。
  • 正常範囲:
  • 男性:約410万〜530万/mm³
  • 女性:約380万〜480万/mm³
  • 異常値の意味:
  • 高値: 脱水症や心臓や肺の疾患、喫煙などで赤血球が増加することがあります。また、高地に住む人も、低酸素環境に適応するために赤血球が増えることがあります。
  • 低値: 貧血や出血、鉄欠乏症が原因で赤血球が減少することがあります。特に鉄欠乏症による貧血は、女性に多いとされています。

ヘモグロビン(Hb)

  • 役割: ヘモグロビンは赤血球内で酸素を運搬するタンパク質で、酸素を肺から体全体に運び、二酸化炭素を肺に戻す働きをします。
  • 正常範囲:
  • 男性:13.0〜17.0 g/dL
  • 女性:11.5〜15.0 g/dL
  • 異常値の意味:
  • 高値: 多血症や高地での生活、または慢性的な肺疾患などでヘモグロビン値が高くなることがあります。
  • 低値: 貧血や出血、または慢性的な病気の影響でヘモグロビン値が低下することがあります。

白血球(WBC)

  • 役割: 白血球は免疫機能を担い、細菌やウイルスと戦う重要な役割を果たしています。白血球の種類には、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球などがあり、それぞれ異なる免疫機能を担います。
  • 正常範囲: 3500〜9000/μL
  • 異常値の意味:
  • 高値: 感染症、炎症、ストレス、白血病などが原因で白血球数が増加することがあります。急性感染症や炎症がある場合、白血球数が一時的に増えることが一般的です。
  • 低値: ウイルス感染や免疫不全、または特定の薬剤の影響で白血球数が減少することがあります。白血球減少症は、感染症に対する抵抗力が低下するリスクを示唆します。

採血結果を正しく理解し、健康に役立てることができれば、より良い健康管理が可能となります。

血小板(PLT)

  • 役割: 血小板は血液の凝固を担い、体内で出血が発生した際に迅速に血を固めることで出血を防ぎます。また、血小板は傷ついた血管の修復を助ける重要な役割も果たしています。
  • 正常範囲: 15万〜40万/μL。これが正常範囲にあることで、出血時の血液凝固が適切に行われます。
  • 異常値の意味:
  • 高値: 骨髄増殖性疾患や慢性炎症状態などが考えられます。高値が続くと血栓症のリスクが高まることがあります。
  • 低値: 血液疾患、薬剤の影響や放射線治療、または免疫系の異常による影響が考えられます。低値の場合は出血傾向が高まります。

血糖値(Glucose)

  • 役割: 血糖値は体の主要なエネルギー源であるブドウ糖の血液中の濃度を示します。食事の後に上昇し、インスリンによって調整されます。
  • 正常範囲: 空腹時で70〜109 mg/dL。食後は一時的に上昇しますが、正常なインスリン反応によって調整されます。
  • 異常値の意味:
  • 高値: 糖尿病、ストレス、肥満、または副腎皮質ホルモンの過剰分泌が考えられます。長期的な高血糖は合併症を引き起こす可能性があります。
  • 低値: 低血糖症、インスリン過剰、または空腹時の長時間にわたる運動などが挙げられます。低値は意識障害を起こすことがあります。

HbA1c

  • 役割: HbA1cは過去1〜2か月間の平均血糖値を反映する指標です。糖化したヘモグロビンの割合を示し、長期間の血糖コントロールを評価するために用いられます。
  • 正常範囲: 4.6〜6.2%。目標は6%未満で、安定した血糖管理ができていることを示します。
  • 異常値の意味:
  • 高値: 糖尿病の存在を示唆します。持続的な高血糖は合併症のリスクを高めるため注意が必要です。
  • 低値: 低血糖症を示すことがあり、特に糖尿病治療中に見られることがあります。意識障害や痙攣を引き起こすリスクがあります。

総コレステロール(TC)

  • 役割: 体内で脂質として働き、細胞膜の材料となり、ホルモンの生成にも関与する
  • 正常範囲: 150〜219 mg/dL
  • 異常値の意味:
  • 高値: 動脈硬化、心疾患のリスク増加、特に冠動脈疾患の可能性
  • 低値: 栄養不良や肝疾患が原因となることがあり、体のエネルギー不足を示すこともある

HDLコレステロール

  • 役割: 「善玉」コレステロールとして知られ、余分なコレステロールを肝臓に戻し、血管の健康を保つ役割を果たす
  • 正常範囲: 40 mg/dL以上
  • 異常値の意味:
  • 低値: 動脈硬化のリスクが増加し、心血管疾患の早期発症の可能性
  • 高値: 一般的に健康状態が良好と考えられ、心血管リスクが低いことを示す

LDLコレステロール

  • 役割: 「悪玉」コレステロールとして、過剰な場合は血管壁に蓄積しやすく、プラーク形成を促進する可能性がある
  • 正常範囲: 60〜119 mg/dL
  • 異常値の意味:
  • 高値: 動脈硬化や心疾患のリスクが高まり、特に心筋梗塞や脳卒中の可能性を示す
  • 低値: 栄養不足が考えられ、体内の必須脂肪酸やビタミンの欠乏を示すこともある

トリグリセリド(中性脂肪、TG)

  • 役割: エネルギー源となる脂肪であり、体内で余分なエネルギーとして蓄えられる
  • 正常範囲: 30〜149 mg/dL
  • 異常値の意味:
  • 高値: 肥満、糖尿病、過食を示し、心血管リスクが増加する
  • 低値: 栄養不足、甲状腺機能低下を示すことがあり、エネルギー不足の結果でもある

肝機能(AST、ALT、γ-GTP)

  • 役割: 肝臓の状態を評価し、肝細胞のダメージや炎症の有無を示す
  • AST(GOT):
  • **正常範囲**:10〜40 IU/L
  • 高値: 肝炎、心筋梗塞、筋肉損傷
  • ALT(GPT):
  • **正常範囲**:5〜40 IU/L
  • 高値: 肝障害、脂肪肝、急性肝炎
  • γ-GTP:
  • **正常範囲**:男性:50 IU/L以下、女性:30 IU/L以下
  • 高値: 肝臓や胆道系の異常、アルコール摂取の影響、薬物の影響

クレアチニン(CRE)

  • 役割: 腎機能を評価し、腎臓のろ過能力を示す指標
  • 正常範囲:
  • 男性:0.6〜1.2 mg/dL
  • 女性:0.5〜1.0 mg/dL
  • 異常値の意味:
  • 高値: 腎不全、腎障害、急性腎障害を示唆する
  • 低値: 筋肉量の減少が考えられ、特に高齢者や病気の回復期に見られることがある

尿酸(UA)

  • 役割: 体内で尿酸が増えすぎると痛風の原因になるが、抗酸化作用も持つ
  • 正常範囲: 3.5〜7.0 mg/dL
  • 異常値の意味:
  • 高値: 痛風、腎機能障害、肥満、代謝異常を示唆する
  • 低値: 栄養不足、肝疾患、特にタンパク質の摂取が不足している場合に見られる可能性

採血結果を解釈する際には、これらの指標を参考にしつつ、全体としての健康状態をしっかりと見極めることが大切です。特に異常値が現れた場合、その背後にある原因を探る冒険に出るべきです。異常値が一時的なもので済むこともありますが、時には重要な警告サインであるかもしれません。そのため、自分で判断せず、必要に応じて早めに医師の力を借りることをお勧めします。医師との相談を通じて、最適な治療法や生活習慣の改善策を模索することが、あなたの健康維持への第一歩となります。

投稿者プロフィール

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信岡 俊孝
経験と資格 信岡俊孝氏は2011年に看護師免許を取得し、13年間病院での勤務経験を持っています。京都の愛生会山科病院では消化器内科や循環器内科、整形外科など幅広い分野で臨床経験を積み、その後、福岡の長尾病院で透析科や回復期リハビリ病棟を担当しました。
2024年には、看護師の働き方改革を目指して株式会社ShiNを設立。

保有資格
看護師免許 (2011年取得)
AFP (Affiliated Financial Planner, 2024年取得)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
販売士2級
第一種衛生管理者免許
ビジネスマネジャー検定試験®
ビジネス法務エキスパート® (2級)
日本商工会議所簿記検定試験3級
第二種電気工事士